総務の仕事にやりがいを感じられなくなった。
そんな気持ちを抱えたまま、毎日職場に向かうことに疲れていませんか。
評価されにくい立場や、業務範囲の曖昧さに不満を持ち、「辞めたい」と感じる総務職の方は少なくありません。
この記事では、総務を辞めたい理由を整理し、辞めるか続けるかを判断するために必要な視点、辞めた後の選択肢、そして退職の手続きまでを丁寧に解説します。
構造的な悩みを冷静に言語化し、前に進むためのヒントをお届けします。
総務を辞めたい理由
総務職に就いている人の多くが、「なんとなくこのままでいいのか」と疑問を抱き始める瞬間があります。
その背景には、業務の評価が曖昧であることや、組織の中での立ち位置の難しさが存在します。
以下では、多くの人が感じている代表的な理由について深掘りします。
数字で評価されにくくモチベーションが続かない
営業や開発のように成果が明確な職種と異なり、総務は日常の運営を支える裏方業務が中心です。
「何事も起きないこと」が成果となるため、目に見える評価を受けづらく、やりがいを感じにくくなる傾向があります。
上司からのフィードバックも曖昧で、昇給や昇進につながる実感が得られず、モチベーションが下がる原因となります。
雑用や庶務が多く「何でも屋」になってしまう
来客対応や備品発注、社内行事の手配など、専門性のない業務が集中しがちです。
本来の役割とは異なる「とりあえず総務に任せる」という空気が蔓延すると、負担が増えるだけでなく、自分の成長にもつながらないと感じてしまいます。
結果として、達成感もなく、自己肯定感を失っていくケースが多く見られます。
会社の板挟みによるストレスが大きい
経営層と現場の間に立つことが多い総務は、双方から異なる要求を受け、調整に苦しむことがあります。
命令と現実のギャップを埋める役割に疲弊し、「自分の仕事は何のためにあるのか」と疑問を抱くことも。
調整役としてのストレスは、外からは見えにくく、共感もされにくいのが現実です。
キャリアアップの道筋が見えない
総務には明確なキャリアステップが存在しにくく、長く続けていても役職や業務内容に変化がないことがあります。
資格取得やスキルアップの道筋も示されないまま、漫然と働き続ける状態に不安を覚える人は多いです。
「このままで転職できるのか」「他社で通用するスキルがあるのか」と将来への焦燥感が募る原因になります。
辞めたいときに考えるべきこと
「辞めたい」と思ったとき、すぐに退職届を出すのは早計かもしれません。
一時的な感情かどうかを見極めること、そして自分の本当の不満がどこにあるのかを整理する作業が欠かせません。
以下では、辞める前にやっておきたい自己分析や社内で解決できる可能性について考えてみましょう。
一時的なストレスなのか見極める
繁忙期やトラブルが重なったタイミングでは、誰でも一時的に辞めたくなるものです。
しかし、それが慢性的なストレスか、一過性のものかを見極めることはとても大切です。
一定期間メモや日記をつけて、自分の感情や疲労度を記録すると傾向が見えてきます。
異動や業務変更で解決できるかを検討する
同じ会社内でも、部署や担当業務が変わることで働きやすさが一気に改善する場合があります。
総務の中でも労務、人事、施設管理など担当が分かれている場合は、希望を出すことで配置転換が可能なケースも。
まずは信頼できる上司や人事に相談し、状況を打破できないか模索してみる価値はあります。
自分のスキルや適性を棚卸しする
転職を視野に入れる場合、自分の強みや得意分野を把握しておくことが不可欠です。
これまでにやってきた業務内容を細かくリストアップし、どんなスキルがあるのかを整理しておきましょう。
たとえば「文書管理が得意」「社内調整能力が高い」「ITツールに強い」など、転職市場でも活かせる強みが見つかるかもしれません。
辞めたいけど辞められない理由
辞めたい気持ちがあっても、すぐに行動に移せないという人は少なくありません。
生活や家族、職場への責任感など、現実的な事情がブレーキをかけている場合が多いです。
ここでは、代表的な「辞められない理由」と、それに対してどのような対応策があるのかを解説します。
経済的な不安が大きい
総務職は一般的に給与が高くないこともあり、転職して収入が下がることへの不安を抱える人は多いです。
特に家庭を持っている場合やローンを抱えている場合、「今辞めたら生活が立ち行かない」というプレッシャーが大きくのしかかります。
まずは現状の支出を見直し、仮に年収が下がった場合でも耐えられるラインを試算するなど、数字で把握することで冷静な判断ができるようになります。
次の仕事が見つかるか不安
「この年齢で転職できるのか」「自分に通用するスキルがあるのか」といった不安は、誰にでもあるものです。
しかし、総務で身につけた文書管理力、調整力、庶務スキルなどは他職種でも応用が効く強みです。
転職サイトやエージェントで求人を調べたり、自己分析を行って強みを可視化することが、不安を和らげる第一歩となります。
職場への申し訳なさや責任感
業務が属人化していることの多い総務では、「自分が辞めたら誰がこの仕事をやるのか」と責任を感じてしまいがちです。
その結果、辞めたい気持ちを先延ばしにしてしまう人もいます。
ですが、あなたが無理を続けて心身を壊す前に、引き継ぎ計画やマニュアルを準備して円満退職できる体制を整えることが重要です。
退職の準備と手続き
「辞めたい」と決断したら、できる限り円満に退職するための準備が必要です。
総務職は社内情報を多く扱っているため、後任への引き継ぎや関係部署への配慮が欠かせません。
ここでは、退職にあたって進めるべきステップを具体的に解説します。
退職の意向を伝えるタイミング
退職を申し出る時期は、基本的には「1ヶ月以上前」が社会的なマナーです。
就業規則で「2ヶ月前」などと定められている場合もあるため、事前に確認しましょう。
感情的に伝えるのではなく、落ち着いた態度で「一身上の都合で」と前向きな理由を用意することがポイントです。
引き継ぎの進め方
業務が属人化しやすい総務では、後任者が迷わず対応できるよう、引き継ぎ資料の作成が不可欠です。
「業務一覧表」「手順書」「担当者リスト」などを用意し、紙でもデータでも見返せる状態に整えておきましょう。
可能であればOJTでの引き継ぎ期間を設けると、職場にとっても自分にとってもスムーズに移行できます。
有給消化と最終出勤日の調整
有給を使って退職前に休むことは労働者の権利です。
ただし、業務や人員体制に影響が出ないよう、上司や同僚とスケジュールを調整することが重要です。
退職届の提出タイミングや会社から借りている物の返却、健康保険や年金の切り替えなども、早めにチェックしておきましょう。
辞めたあとのキャリア形成
退職後にどんなキャリアを築いていくかは、多くの人が最も不安を感じる部分です。
しかし、総務で培ったスキルはさまざまな分野で活かすことができます。
ここでは、代表的な転職先や転職活動のコツを紹介します。
総務経験が活かせる転職先
人事・労務・経理・庶務など、事務系職種全般にスムーズに移行できます。
また、社会保険労務士事務所や会計事務所、行政書士事務所などの士業補助も狙い目です。
業種を変えても「社内調整力」や「書類処理能力」は高く評価されることが多いです。
転職活動の進め方と注意点
まずは転職サイトに登録し、自分の希望条件を明確にすることから始めましょう。
履歴書には具体的な業務内容と成果を数値で記載することが大切です。
転職エージェントを活用することで、非公開求人に出会えたり、書類添削や面接対策のサポートも受けられます。
キャリアチェンジの選択肢
「人のサポートが好き」という特性を活かして、カスタマーサポートや広報、秘書職などに転身する方もいます。
また、近年はIT業界やスタートアップでもバックオフィス人材の需要が高まっており、柔軟な働き方を選べる可能性もあります。
自分の価値観やライフスタイルに合わせて選択肢を広げましょう。
総務経験者のリアルな体験談
実際に総務を辞めた人、辞めずに環境を変えた人、それぞれの声には大きなヒントがあります。
自分一人だけが悩んでいるわけではないことを知るだけでも、気持ちが軽くなるかもしれません。
辞めて良かった人の声
「中小企業の総務から、社員50名のベンチャーに人事として転職。裁量権が増え、組織作りに貢献できている実感がある」(30代女性)
「思い切って辞めたことで、今の職場では自分の意見が反映されやすくなり、精神的にラクになった」(40代男性)
辞めなかったことで得られたもの
「上司に思い切って相談したことで業務が整理され、今ではチームの中心として働けている」(30代女性)
「キャリア面談で自分の意向を伝えたら、庶務中心から人事企画に異動。仕事のやりがいを再発見した」(40代男性)
総務を辞めたいときは冷静な判断を
辞めるという決断は、人生にとって大きなターニングポイントになります。
焦りや感情だけで判断するのではなく、自分の中の本当の理由を明確にし、行動に移すための準備を整えることが大切です。
この記事を通じて、自分の立ち位置や次に進む道が見えてきたのであれば、最初の一歩を踏み出してみましょう。
どんな選択をしても、それを正解にしていく力はあなた自身にあります。